菩薩が、成仏を目指すに当たって「どうやって衆生を救済するつもりであるか」を表明するもの。宣言・宣誓である。
この誓いの内容はそのままその仏の性質を決定する。従って、本願が設定されている仏の物語を繙く上で重要である。
最も有名な本願は、阿弥陀仏の四十八願である。
しかし、阿弥陀神話を説く幾多の経典の中で、「四十八願」とする経典はただ『無量寿経』と『大宝積経』(無量寿如来会)あるのみである。諸異本のバリエーションでは本願の内容や数は区々である。 しかし、彼の極楽国土に衆生を往生させることが目的である、とは概して言える。
因みに、所謂「浄土教」で当てにしているのがこの阿弥陀仏の本願である。 「念仏を唱えると極楽往生できる」と解釈した信仰が広く流布している。
しかし、成立当初から唐代初期までは、往生の手段と本願は関係無かった。阿弥陀仏の姿を心に思い描く行(「観想」と言う)が活動の中心だったのである。
他に本願で名を馳せた仏として薬師如来がいる。彼の本願は「十二大願」で一致している。身体の障害や病気や飢餓や刑罰、果ては貧乏にまで幅広く対応してくれ、しかも「薬師琉璃光如来」と云う名前を聞くだけで良いと云うリーズナブルさが彼の本願の売りである。
他にも、釈迦如来の五百願や普賢菩薩の十大願等が知られているが、阿弥陀や薬師ほどには流行しなかった。
水月