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 イシュタル (Isthar)

【分類】

 オリエント神話(Near Eastern mythology )


【解説】

 オリエント全域で信仰された愛と美の女神。時に戦いの女神にも。H.ガスターの『世界最古の物語』の「ギルガメシュの冒険」では、ギルガメシュを誘惑しようとして、逆にさんざん「いったいおまえは愛人に貞節をつくたことがあるかね」と説教された女神。「おまえはわたしを金持ちにしてやるというが、そのお返しに途方もないものを求めてるだろう。おまえが求める食べ物や着物は、女神にこそふさわしいもの、住まいは女王の宮殿のようなもの、衣服は極上の織物をほしがるにちがいない」などとギルガメシュはイシュタルに対して言い、実際にイシュタルの毒牙にかかって身を崩した男たちの例をあげている。あまりの侮辱に、このままでは気がすまぬと、天上のパパとママに言って、嵐のように暴れる牡牛を地上にはなった‥‥恐怖のタカビー女。「石の怪物」では、石の怪物と風の神の戦いに参加し、誰もが怖じけづく中、ひとり石の怪物と対峙し、着物を脱ぎ捨て、タンバリンを持って、美しい歌と踊りで怪物を魅了しようと試みるが、怪物は目が見えないため、努力はムダに終わったりしている。カナアン地方ではイシュタルはアスタルテと呼ばれており、「バアルの物語」でも、やはり着物を脱いで、香料をふりかけ、小鼓を手にして邪竜ヤムと対峙しているシーンが書かれている。どうもイシュタルはそういう役割らしく、冥界に行ったタンズームを追いかけた際にも、冥界の女王エレシュキガルの命令で裸にされている。
 ヘロドトスは『歴史』の中で、バビロニアのミュリッタの神殿における奇妙な風習を伝えている。それは、王国の女性は一生に一度、神殿で売春をしなくてはならないということだ。男は女性たちが座っている前を歩き、品定めし、気に入った女性がいるとコインを投げて「ミュリッタ様の名にかけて、お相手を」と言って、女性を連れていってことを行う。こうして一度売春を行えば、家に帰れたのだという。ミュリッタとは、イシュタルの別名だと考えられている。もともとシュメールの時代にも、イシュタルの神殿では売春が行われており、各地から男たちが貢ぎ物を持って神殿にやってきたのだという(ギルガメシュがイシュタルをののしったのは、このへんの事情によるものではないだろうか)。H.ガスターの『世界最古の物語』の「計略で捕まえた竜」には、「人以上の力を得られる道はただ一つ、それは女神を抱擁することでした。女神はその愛とともに、神の力の幾分かをあたえてくれるのです」とあり、人間が神話的英雄になるには、女神とセックスすることが、最も有効だと考えられていた。実際、新年祭などでは国王と女神を演じる女性による聖婚が密議として行われていたらしい。神殿売春の底辺には、そういう神話的思想があったに違いないと思う。

JD




 アッカドの神話。シュメールのイナンナと同一視される。自由奔放な、豊穣の女神。有名なイシュタル(イナンナ)の冥界下りの説話では、地母神として、タンムーズ(ドゥムジ)と結び付いている。イナンナ、エレシュキガルの項参照。
 アッシリアでは、戦いの女神として、広く崇拝されたようである。ニネヴェには、疾病の治療に大きな力を発揮したイシュタル像があった。

エサギラの管理人




 メソポタミア神話の豊穣神。美しい愛の神イシュタルはある日地獄へと落ちた。 地獄の女王エレシュキガルは古からの仕来たりに従い、イシュタルに7つの試練を課し、60の責苦を与えた。
 イシュタルが地獄に囚われた事で、大地は肥沃さを失い、人々は飢えに苦しんだ。そこで身代わりを送り込むことでイシュタルを取り戻し、地上は元の状態に戻った。

モンジュ





【参考文献】