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 クベーラ (Kubera)

 インドの神話。ヴェーダ期にはほとんど知られていなかった、新しい
神。財宝などを守護する、財神である。ヒンドゥー教の時代になり、世
界八大守護神の一人に加えられた。8本の歯に、3本の足を持った小人
という、ある種の奇形であった。聖者ヴィシュラヴァスが、その父と言
われている

 彼は、元々ヤクシャの王であった。つまりダークサイド側の魔族だっ
たのである。それが、どうして八方守護者に加えられたのだろうか?
 様々な説が入り乱れているが、一概に善・悪が区別できない所が、イ
ンド神話の特徴である。
 本来、クベーラは洞窟や地中に住む精霊だった。または、盗賊だった
ともいわれる。シヴァの神殿に忍び込んだときのこと、彼は神殿の燭台
を倒してしまう。クベーラは、十回にわたってその灯をつけようと努力
した。その行為を見たシヴァは、彼に財神の地位を与えたのである(転
生して、財神に生まれ変わったとも)。このエピソードから、クベーラ
はイーシャサキ(シヴァの友人)とも呼ばれる。
 他の説では、一千年もの苦行の末、ブラフマーからその地位を与えら
れた。

 クベーラの活躍は主に、『ラーマーヤナ』に記されている。彼はヴィ
シュヴァカルマン
が建てた、城塞都市ランカーに住み、魔法の戦車プシ
ュパカ
を所有していた。
 しかし激しい戦いの末、腹違いの兄弟ラーヴァナによって、ランカー
は奪われてしまうのである。ヴィシュヴァカルマンは、クベーラのため
にヒマラヤのカイラーサ山に、宮殿を建てた。その後も戦いは続いたの
だが、クベーラ率いるヤクシャ軍は破れ、彼も瀕死の重傷を負うのであ
る。

 仏教においてクベーラは、多聞天、または毘沙門天として四天王の一
人として数えられた。