マーリン (Merlin)

【分類】

 ケルト神話(Celtic mythology)


【解説】

 魔法使いであり、アーサー王の後見人。アーサーの父、ユーサー・ペンドラゴンからアーサーを奪って王とするべく育てた。湖の妖精ニミュエに籠絡され、秘密の魔法を教えてしまったためにニミュエによって地下に幽閉された。

SIN





 魔術士。インキュバスの息子であった為、その魔力を持った血を求める者達に、命を狙われる事になる。彼はいろいろなものに変身する能力を持っていたという。アーサー王の宮廷の魔術士として活躍し、やがて湖の妖精ヴィヴィアンに恋をし、彼女に自分の魔力についての秘密を話したのがきっかけで、湖の館に幽閉される事になる。

フィネア






 ウェイルズ語でミルディン、ラテン語でメルリヌス、またメルリーノと呼ばれる。
 アーサーの父であるウーゼルに使えてアーサーの出生に関わり、またアーサーの側近としてその予言や変身の能力によって王へと導いた魔術師。
 ウェールズのメルディンなどがそのモデルと考えられ、またドルイド僧でありシャーマンであったとも考えられているが、西洋で魔法使いといえばまずマーリンの名があがるように、魔術師の代表格として仮託された存在も大きい。杖をついた長い髭の老魔術師の姿として描かれることが多いものの、若者や子供に姿を変えることができたとされる。
 アーサー王の物語では、マーリンの父はインキュバス(夢魔)とされており、悪魔の子としてキリスト教と対比される関係にもある。
 
 マロリーの『アーサー王の死』などでは、マーリンがアーサーと近親のモルゴースの間に生まれた子(モードレッド)が、アーサーとその王国を破滅させるだろうと予言する。

 その後マーリンは恋人であった湖の妖精ニュミエに自らが教えた魔術によって幽閉される。ニミュエが老いたマーリンを嫌ったとも、永遠に二人で過ごすために閉じこめたともいわれるが、ニミュエがその後マーリンに変わりアーサーを助けることから考えても後者がふさわしく思える。

渡邉聡士  





【参考文献】

  ・『アーサー王の死』 T・マロリー作 W・キャクストン編 厨川文夫・厨川圭子抄訳 筑摩書房
  ・『アーサー王ロマンス』 井村君江著 筑摩書房
  ・『アーサー王物語』 トマス・ブルフィンチ著 大久保博編訳 角川書店
  ・『アーサー王伝説紀行』 加藤恭子著 中公新書
  ・『図説アーサー王伝説事典』 ローナン・コグラン著 山本史朗訳 原書房
  ・『アーサー王伝説の起源』 C・スコット・リトルトン リンダ・A・マルカー著 辺見葉子 吉田瑞穂訳 青土社
  ・『図説ケルト神話物語』 イアン・ツァイセック著 山本史朗 山本素子訳
  ・『ケルトの神話』 井村君江著 筑摩書房
  ・『ケルト神話と中世騎士物語』 田中仁彦著 中公新書
  ・『新約聖書』 新共同訳 日本聖書教会