最新版の事典をご利用下さい。
現在閲覧中の項目は、古いバージョンで作成されたものです。
最新版の事典は、こちらとなります。


 イザナギ

【表記】

古事記伊耶那岐神・伊耶那岐命
日本書紀伊弉諾尊
先代旧事本紀伊弉諾尊
出雲国風土記伊弉奈枳・伊佐奈枳命
丹後国風土記逸文射奈芸
古語拾遺伊弉諾神
祝詞伊射那伎・伊佐奈伎命


【イザナギとイザナミが生んだ神々】

 ・ヒルコ、大八島(おおやしま)
 ・吉備児島(きびのこじま)、以下6島
 ・大事忍男神(おおごとおしお)
 ・石土毘古神(いわつちひこ)、以下6神
 ・大綿津見神速秋津日子神速秋津比売神
 ・志那都比古神(しなつひこ)、久久能智(くくのち)
 ・大山津見神)
 ・鹿屋野比売神アメノトリフネ
 ・大宣都比売神(おおげつひめ)、ホノカグツチ
 ・金山毘古神金山毘売神
 ・波邇夜須毘古神、波邇夜須毘古神(はにやすびめ)
 ・彌都波能売神

 ・泣沢女神、石析柝神(いわさく)、根析柝神(ねさく)
 ・石筒之男神(いわつつ)、甕速日神(みかはやび)
 ・樋速日神(ひはやび)、タケミカヅチ
 ・闇淤加美神・闇御津羽神

 ・八雷神(やくさのいかづち)、以下八神
 ・衝立船戸神(つきたつふなど)

 ・八十禍津日神・大禍津日神(おおまがつひ)
 ・神直毘神(かむなおび)、大直毘神(おおなおび)
 ・伊豆能売神(いずのめ)
 ・底津綿津見神(そこわたつみ)
 ・中津綿津見神(なかつわたつみ)
 ・上津綿津見神(うえつわたつみ)
 ・底筒之男命(そこつつ)
 ・中筒之男命(なかつつ)
 ・上筒之男命(うわつつ)

 ・アマテラスツクヨミスサノオ


【解説】

 神代七代の最後の神。イザナギとイザナミは、神話における初めての夫婦神である。名称の「イザナ」は、誘うという意味。「ギ」は男性を表しているといわれる。

 『古事記』によれば、天津神に命を受けた二人は、天浮橋に立ってアメノヌボコを降ろして混沌をかき混ぜることにした。すると、矛の先から滴る潮からオノゴロジマができた。二人はその島に天下って、天御柱と八尋殿を建て夫婦となった。
 イザナギとイザナミの国生みの際には、次のような会話が交わされている。「あなたの体はどんな風にできているのですか?」とイザナミに尋ねると、「私の体は、一つだけ足らないところがあります」と答えた。イザナギは「私のからだは、一つだけ余っているところがあります。私の余ったところと、貴女の足らない所をあわせてみてはどうでしょうか」と誘うと、イザナミはこくりと頷いた。二人は天御柱を回って、結婚しようということになった。しかし、その時に女性であるイザナミから声をかけてしまった為に、生まれたのは骨のないヒルコだった。悲しんだ二人は、ヒルコを葦の船に乗せて流してしまう。

 それから相談した二人は、天津神に意見を聞くことにした。助言にしたがって、今度は男であるイザナギからイザナミに声を掛けた。そして二人は結ばれ、本州、四国、九州など八つの島々を生んだ。
 国生みを終え、さらに風、水、海、山、草など次々に神を生んでいく。その数35神に上る。だが、ホノカグツチを生む際に、イザナミは陰部を焼かれ命を落としてしまうのである。怒り狂ったイザナギは、ホノカグツチの首を切り落としてしまう。そこから、何柱かの神が生まれる。

 死してなお自分の妻を恋しく思うイザナギは、黄泉国へイザナミを迎えに行く。しかし、イザナミは「もう自分はこの国の食べ物を食べてしまったので戻れない」と告白した。落ち込んでいるイザナギに「黄泉国の神様に相談して、戻れるかどうかもう一度聞いてみます。その間、けして覗かないで下さい」とイザナミは慰めた。
 だが、時間がたち、待ちきれなくなったイザナギは約束を破ってしまう。そして覗き見たのは、8柱の雷神が体にまとわりつき、ウジのわいたイザナミの死体だった。恐ろしくなってイザナギは逃げ出してしまう。恥をかかされたイザナミは、後を追いかけてくる。身につけている物を使って逃走を続け、漸くヨモツヒラサカまで逃げ延びたのだった。
 そして巨大な岩でヨモツヒラサカを塞いでしまった。岩を挟んで、イザナミが「お前の国の人間を1日1000人殺してやる」というと、「それならば私は、1日1500の産屋を建てよう」とイザナギは言い返した。これが、人間の死の起源説話である。

 黄泉国から逃げ帰ったイザナギは、日向の橘の小門の阿波岐原で、穢れを禊ぎによって落とした。そこから沢山の神が生まれるが、左目をすすぐとアマテラスが、右目をすすぐとツクヨミが、鼻をすすぐとスサノオが生まれた。「三貴子」の誕生を喜んだイザナギは、アマテラスを高天原に、ツクヨミ夜食国、スサノオを海原を与えた。  イザナギの最期の地は、『古事記』によれば近江の多賀か淡路の多賀だといわれている。


【他の方の解説】

 日本神話の中で最初の夫婦神。天津神の名により国土を生む。
 そのほか、数多くの神を生むが最後に火之迦具土神(ほのかぐつちのかみ)という火の神を生む。その際に伊弉冉尊は陰部を火傷しそれが原因でなくなってしまう。その後、伊弉諾尊は妻恋しさに、黄泉の国まで伊弉冉尊に会いに行くが、すっかり変わってしまった妻の姿を見て、恐ろしさのあまり、黄泉の国より逃げて帰る。黄泉の国での穢れを日向の橘の小門の阿波岐原で禊ぎをした。禊ぎの最後に左目から天照大神、右目から月読命、鼻からは素戔嗚尊を生むこととなる。(海馬)






【主要神社】

 ・諏訪大社(長野県諏訪市)
 ・広田神社(兵庫県西宮市)


【参考文献】

 ・『古事記祝詞』 日本古典文学大系1(岩波書店)
 ・『日本書紀上・下』 日本古典文学大系67・68(岩波書店)
 ・『風土記』 日本古典文学大系2(岩波書店)
 ・『日本神話事典』 監修…大林太良 吉田敦彦(大和書房)
 ・『日本の神様を知る事典』 阿部正浩(日本文芸社)
 ・『日本の神社を知る事典』 菅田正昭(日本文芸社)
 ・『新訂 古事記』 武田祐吉 訳注 / 中村啓信 補訂・解説(角川文庫)
 ・『神話の森』 山本節(大修館書店)
 ・『神社辞典』 白井永二・土岐昌訓 編(東京堂出版)
 ・『神社』 岡田米夫(東京堂出版)
 ・『日本の神々事典』 薗田稔・茂木栄 監修(学研)
 ・『八百万の神々』 戸部民夫(新紀元社)
 ・『神話伝説辞典』 共編(東京堂出版)
 ・『日本神話の考古学』 森浩一(朝日新聞社)