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 スカンダ (Skanda)

 インドの神話。美しい少年の姿をした戦いの神。シヴァの息子で、
ルティケーヤ
、クマーラ(Kumara)、 サナートクマーラ(Sanatkumara)、
マハーセーナ(Mahasena)、セーナーパティ(Senapati)、シャクティダラ
(Syaktidhara)、など64もの名前を持つ。また、タミール山の、ムル
ガンとも同一視される。
 6つの顔と12本の腕を持ち、パラヴァニという孔雀に乗った姿で描
かれることが多い。彼が持つ槍は、ヴィシュヴァカルマンによって作ら
れた。

 その出生には様々な説があるが、ここでは『マハーバーラタ』に語ら
れているエピソードを紹介する。
 ある時、インドラはマーナサ山の近くで、悪魔にさらわれそうになっ
ていたデーヴァセーナ(Devasena)を救った。彼女を見たブラフマーは、
その夫となる者が神々の軍を率いる事になるだろう、と予言した。
 同じ頃、炎の神アグニは、7人の聖仙の妻に恋をしていた。毎日彼は、
台所の竈の中から彼女たちを見つめていた。しかし、だからといって他
人の妻を取るなどという大罪を犯すことは出来ない。
 彼は森の中で悩んでいた。それを見た、ダクシャの娘スヴァーハーは
アグニに近づいて行く。彼女は、以前からアグニに思いを寄せていたの
である。スヴァーハーは、聖仙の妻の姿に化け、アグニと交わった。
 彼女は彼の精液を得ると、それを持ち帰り、アシュベータ山の黄金の
穴に落とした。そうして彼女は次々と妻達の姿を取り、6日間アグニと
交わり同じ事を繰り返したが、ヴァシシュタの妻アルンダティーだけに
は、あまりにも貞淑なために化けることが出来なかった。
 しばらくして、黄金の穴から一人の少年が生まれた。彼は6回に分け
て落とされた精液から生まれた為、6つの顔と12本の腕を持っていた。
 彼こそが、「落とされた者」という意味を持つ、スカンダである。
 黄金に輝くスカンダは、4日目にして立派な姿に成長し、その咆哮は
天地を揺るがした。神々は彼を恐れ、戦いを挑んだが、その力の凄まじ
さを知り、和解を申し込んだのである。彼は、インドラが助けたデーヴ
ァセーナと結婚し、神軍の総司令官となった。
 何故、スカンダがシヴァの息子と言われるようになったかは、シヴァ
がアグニの中に、ウマーがスヴァーハーの中に入り込んでいたからだ、
という説明がなされている。

 また彼は、グラハ(掴む者)とも呼ばれ、病気や災難の原因として悪
魔視されることもあった。さらに健康を奪う者として、盗人の神ともい
われる。インドでは、盗人の事をスカンダプトラ(スカンダの息子)と
呼ぶそうである。

 ある説によれば、彼は女性を極端に嫌い、自分の神殿に入れようとし
なかったという。デーヴァセナ、カウマーリという妻がいるが、パート
ナーとして扱われている。

 仏教に入ると、彼は八大将軍の韋駄天となった。他にも、少年を意味
するクマーラからは、鳩摩羅天となる。京都の鞍馬寺には、魔王尊サナ
ートクマーラが祭られている。