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ソーマ (Soma)
インドの神話。本来、ソーマとは神酒の事で、ハオマやアムリタと同
一視される。ヴェーダの祭式の中で最も重要な供物で、神々でさえもそ
の味に溺れてしまう程である。インドラの凄まじい力も、ソーマを飲む
ことによって得られるものだった。
ソーマとは一種の興奮剤のようなものであったと思われる。『リグ・
ヴェーダ』には、鷲が天界から地上に持ってきた物であると記されてい
て、山地に生える灌木の一種であった。それを石で叩き、圧搾して樹液
を絞り出す。それを羊毛で作った濾過器で不純物を取り除き、水や牛乳
を混ぜて発酵させた物が、ソーマ酒である。
ある神話によれば、ソーマ草はガンダルヴァに属していた(彼らの住
む山に生育していたから)。そして彼らから、女神ヴァーチュに渡され
たと述べられている。
ソーマ草は、つる草の一種だとか、シロバナサルコステンマだという
説もあるが、いまだに不明である。
時代が下って『リグ・ヴェーダ』の末期になると、ソーマは神格化さ
れ、月(チャンドラ)の神となった。これは、月がソーマを注ぐ容器だ
と考えられたからだ。
他の説では、彼はダクシャの娘27人を妻に迎えた。しかし、彼はロ
ーヒニーという妻だけを溺愛し、他の妻を相手にしなかった。当然、他
の妻達は不満を父であるダクシャに申し出た。それに腹を立てたダクシ
ャは、ソーマに呪いをかけた。妻達の哀願によって、命を落とすことは
なかったが、彼は一ヶ月の半分の間脱力状態に陥ってしまうことになっ
た。つまり月の満ち欠けである。
他にもプラーナなどの神話においては、星宿やバラモン、植物を支配
する神となる。『ヴィシュヌ・プラーナ』によれば、彼はブラフマーの
子アトリの息子である。ある時、彼はラージャスーヤの祭祀を行い、授
けられた力に慢心した。強大な力に酔ったソーマは、欲望に駆られるま
ま、神々の指導者であるブリハスパティの妻ターラーを誘惑し、連れ去
ってしまう。このエピソードについては、ターラーの項目を参照して欲
しい。
最後に、月の神ソーマの姿について。プラーナによれば、ソーマの身
体は銅色で、10頭の白馬が曳く3つの車輪の戦車に乗っている。