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 ヴァーユ (Vayu)

 インドの神話。風の神格化であり、その名も「風」という意味である。
アニラ(Anila)、ガンダヴァハ(Gandhavaha)などの別名を持つ。また
マルトとも同一視される。

 ある説によると、ヴァーユはプルシャの息吹から生まれたといわれて
いる。ヴェーダに登場する回数は少ないが、初期においてはスーリヤ
アグニと共に三大神として重要な神であった。時代が経つにつれ、その
地位はインドラへと移っていくのだが、風の神としての性格は残り、北
西の守護者となる。仏教では「風天」と呼ばれた。

 ヴァーユは白い旗を持ち、鹿に乗った姿として描かれることが多いが、
二頭の赤い馬が曳く戦車に乗っていることもある。またインドラと同行
する時は、千頭立ての黄金の馬車に乗り、激しく天を駆けた。
 彼の気性は、非常に猛々しかったといわれている。それは、メール山
を破壊したエピソードからも窺うことが出来る。
 ヴァーユは常々、自分の力を誇示したい欲望に駆られていた(聖仙ナ
ーラダがこれをけしかけたとも言われる)。ヴァーユは、凄まじい風を
山に吹きつけ頂を破壊しようとしたのだが、それを阻止したのがガルー
ダである。ガルーダは羽を広げ、必死にメール山を守ったいたのだが、
迂闊にもその場を一瞬離れてしまう。その隙を、ヴァーユは見逃さなか
った。凄まじい風の一撃によって、メール山の頂を吹き飛ばしてしまっ
たのである。それは、南の海に落ち、それがランカー島となった。つま
り、今のスリランカである。

 面白いことに、『ラーマーヤナ』において、ランカー島に進入する
ヌマーン
は、ヴァーユの息子と言われている。