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【分類】 ケルト神話(Celtic mythology) 【解説】
別にバリンと呼ばれる。 アーサー王の騎士として両手に剣をもって戦ったため”二剣の騎士”と呼ばれ、またその言動から乱暴者のベイリン、野蛮なベイリンとも呼ばれる。 『アーサー王の死』などに登場するが、原型は他の物語中の人物のウェイルズの王ブリュラン(ヴァルラン)で、アーサー王以前の人物とされていた。 従弟を殺害した罪で1年半以上も投獄されていたが、ある日王宮を訪れた乙女が携えてきた剣を鞘より抜き無実を証明し、剣を強引に自分のものにする。 実はこの剣は、乙女が自分の兄を殺すために授かったものだったため、ベイリンとその弟ベイランの兄弟は殺し合うことになる。 旅の途中アーサーの王国と敵対していたリエンス王を捕らえ、またその弟ネロが仕掛けた戦争で二本の剣を使い活躍した。 また、国が荒廃するという”悲しい一撃”をロンギヌスの槍でペラム王に与える。その一撃により、聖杯と槍は消え去ってしまい、ペラム王の城は崩れ周囲の国々の大地は荒れ果て、豊饒をもたらす聖杯を再び探しだすことが必要になったとされる。 ペラム王はアリマテアのヨセフの子孫とされており、カーボネックのエレインの父ペレス王と根本的には同一人物。このために両者共に、足に聖痕(スティグマ)をもつ”不具の王”、また”漁人の王”と呼ばれてしまう場合がある。 この後ベイリンが乙女より得た剣は、彼の死後に正統な持ち主だとされるガラハッドの手に渡るとなっている。しかし聖騎士ガラハッドには、あまり似つかわしくない剣だ。 どうやらダヴィデの剣と混同があるらしい。 ベイリンの原型とされるブリュランのもともと持っていたのと同じダヴィデの剣は、ガラハッドがブリテンを去る前に得ることになるもの。 ブリュランがダヴィデの剣で与える国の荒廃のもとになる一撃は、悲しい一撃と呼ばれロンギヌスの槍や聖杯とは無関係だったが、聖杯消失の原因として聖杯の持つ豊饒の力と関連づけて、ベイリンと結びつけられたと考えられる。 またダヴィデはユダヤにとっては隆盛と平和の王であり、客観的に見れば戦争上手の王。 このベイリンの物語には理解しづらい部分がいくつか見られる。アーサー王にエクスキャリバーを授けたと同じ女性かもしれないダム・ド・ラックを、ベイリンが母の仇として斬り殺す場面もある。 渡邉聡士 【参考文献】 ・『アーサー王の死』 T・マロリー作 W・キャクストン編 厨川文夫・厨川圭子抄訳 筑摩書房 ・『アーサー王ロマンス』 井村君江著 筑摩書房 ・『アーサー王物語』 トマス・ブルフィンチ著 大久保博編訳 角川書店 ・『アーサー王伝説紀行』 加藤恭子著 中公新書 ・『図説アーサー王伝説事典』 ローナン・コグラン著 山本史朗訳 原書房 ・『アーサー王伝説の起源』 C・スコット・リトルトン リンダ・A・マルカー著 辺見葉子 吉田瑞穂訳 青土社 ・『図説ケルト神話物語』 イアン・ツァイセック著 山本史朗 山本素子訳 ・『ケルトの神話』 井村君江著 筑摩書房 ・『ケルト神話と中世騎士物語』 田中仁彦著 中公新書 ・『新約聖書』 新共同訳 日本聖書教会 |