最新版の事典をご利用下さい。
現在閲覧中の項目は、古いバージョンで作成されたものです。
最新版の事典は、こちらとなります。


 イハナガヒメ

【表記】

古事記石長比売
日本書紀・先代旧事本紀磐長姫


【解説】

 妹のコノハナノサクヤビメと共に、ホノニニギの妻となった。しかし、その容姿があまりに醜かったために、親であるオオヤマツミの元に返されてしまった。その顛末の詳細についてはコノハナノサクヤビメの項目を参照にして欲しい。

 短命起源説話として、『古事記』には「石長比売を使はしては、天つ神の御子の命は、雪零り風吹くとも、垣に石の如く、常磐に堅磐に働きなくましさむ」と、木の花の様に短命なコノハナノサクヤビメとは対照に、石の様に永遠の命の象徴として記されている。それを送り返した為に、代々の天皇家は短命となったとするのである。
 しかし『日本書紀』には、妊娠したコノハナノサクヤビメをイハナガヒメが呪詛するエピソードが記されれ、「一伝」ではそれを人の短命の起源としている。

 この様な死の起源を説明する神話を、「バナナ=タイプ」と呼ぶ。東南アジア・インドネシア・ニューギニアにかけて分布するモチーフをフレイザーが命名したものである。簡略すると、神が人間に「石」と「バナナ」のどちらかを選ばせる。ここで、もし石を選べば、不死を得ることが出来るのだが、人間はバナナを選んでしまい、死の宿命を背負ってしまうのである。コノハナノサクヤビメは「バナナ」、イハナガヒメは「石」に相当するのにすぐに気づくだろう。それが、日本の隼人族に伝わり神話となって残ったと考えられる。


【他の方の解説】

 木花咲耶比売命の姉で、大山津見神の娘。大山津見神が瓊瓊杵尊へ嫁として送ったが、醜女だったため、送り返されてしまう。
 「短命」を象徴する木花咲耶比売命とは対照的に「不老長生」を意味する。 (Xiao Yi)


【主要神社】

 ・富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)
 ・浅間神社(山梨県東八代郡)
 ・浅間神社(静岡県静岡市)
 ・北口本宮富士浅間神社(山梨県富士吉田市)


【参考文献】

 ・『古事記祝詞』 日本古典文学大系1(岩波書店)
 ・『日本書紀上・下』 日本古典文学大系67・68(岩波書店)
 ・『風土記』 日本古典文学大系2(岩波書店)
 ・『日本神話事典』 監修…大林太良 吉田敦彦(大和書房)
 ・『日本の神様を知る事典』 阿部正浩(日本文芸社)
 ・『日本の神社を知る事典』 菅田正昭(日本文芸社)
 ・『新訂 古事記』 武田祐吉 訳注 / 中村啓信 補訂・解説(角川文庫)
 ・『神話の森』 山本節(大修館書店)
 ・『神社辞典』 白井永二・土岐昌訓 編(東京堂出版)
 ・『神社』 岡田米夫(東京堂出版)
 ・『日本の神々事典』 薗田稔・茂木栄 監修(学研)
 ・『八百万の神々』 戸部民夫(新紀元社)
 ・『神話伝説辞典』 共編(東京堂出版)
 ・『日本神話の考古学』 森浩一(朝日新聞社)