海から陸に上がって島の酋長と結婚した女から生まれたアトモロコトは、不思議な光を発する真珠貝の殻から作った針を持って、毎日、防波堤の突端に行っては、魚を取っていたが、帰宅するとその針を父親に示さねばならなかった。
ある日のこと、彼が魚に針を取られてしまって、悄然として帰宅すると、父は激昂して、口汚く息子を罵り辱めた。
息子はそこで仕方なく、アダラルという女性に助けを請い、彼女に教えられたとおりにして、防波堤の突端から海底に降り、一尾の魚に案内されてアダックという土地に行き、泉のそばに座っていた。
するとそこに一人の乙女が水汲みに来て、アトモロコトと言葉をかわし、家に帰ってそのことを報告したので、アトモロコトは家に招じ入れられた。
家の中では一人の老女が、頸の痛みのために瀕死の状態にあったが、彼女はアトモロコトを見て、自分の娘と似ていることに驚き、彼の母親が誰であるかを尋ねて、アトモロコトが自分の孫であることを知った。
彼とここまで同伴してきた魚が、老女の前で滑稽な舞踏をしてみせると、彼女は思わず吹き出し、その途端に喉に刺さっていた針が口から飛び出し、それと同時に彼女を苦しめていた痛みが癒えた。
アトモロコトが針を手に取ってみると、彼が探していたものだったので、彼は携えてきた籠の中にそれをしまい、祖母に暇乞いをして陸に帰った。
日本の海幸山幸神話に類似した、ミクロネシアのパラヲに伝わる話。
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