|
| グィネヴィア (
グィネヴィア ) 英名:
Guinevere, Guenever |
 |
別にグウィネヴィア、ギネヴィア、グウィニヴィアと呼ばれ、古いウェイルズ語ではグウェンフウィヴァルとなっている。
12世紀のフランス人クレティアン・ド・トロワから始まった、フランス系の物語の主流である、アーサー王の妃であると同時にラーンスロットの恋人という姿が有名。そこでは、カメラードのレオデグランス王の娘。ただしそれ以外の物語では、違った姿を多く持つ。
ヴォーティガン(フォルティゲルン)の娘だったり、モードレッドの妹だったり、モルドレッドとの間に子供をつくったりもする。他に双子の妹がいたり、3人のグィネヴィアがいるという話もある。
またケルト神話では、豊穣の母神で五月祭の女王などの背景を持つ。なおグィンやグェン、グウィンやグウェンなどの発音は、ケルト神話やウェイルズの伝承に登場する神や人物などの名前によく見られる。
ラーンスロットと同じく、恋の相手のこととなると性格が変わる。ある意味、フランス系文学の悪い癖により全く王妃らしくない王妃になっている。
ラーンスロットのこととなると、異常に嫉妬深くなり、また疑り深い。ラーンスロットの言葉によれば、「これまで出会った女性の中で、最も美しい女性」だが、フランス系アーサー物語では、妖精モルガンに次いで性格の悪くみえる女性。
唯一王妃らしい姿を見せるのが、有名な『荷車の騎士』の一場面。
王妃を慕う円卓の騎士メリアグランスとその手勢に誘拐されようとした際、王妃を守ろうとして戦い傷を負った護衛の騎士や従者らの身の安全を考えて、グィネヴィアは進み出てメリアグランスに囚われることを了承する。
しかしマロリーの物語では、その後救出に来たラーンスロットと一夜を共にする。そして、それを公の場に訴えたメリアグランス(メリアガンス)を、彼女の汚名を晴らそうとメリアグランスと一騎討ちしたラーンスロットに合図して殺させている。
グィネヴィアはよく誘拐されアーサー王のもとを離れるため、自ら望んで誘拐されているようにも見えてしまう。
ちなみに、『荷車の騎士』でのグィネヴィアとラーンスロットの姿は、囚われのお姫様を助け出す勇敢な騎士という定型をなしている。
なぜかラーンスロットが登場すると、アーサー王とグィネヴィアの関係が描かれなくなる。暗に夫婦の関係がさめていたことを示しているのかもしれないし、単純に物語の矛盾を防ぐためなのかも知れない。
フランス系の物語では、グィネヴィアには子がないが、アーサー王が結婚前に関係を持ったライオノースの息子が円卓の騎士として登場し、またモルゴースの息子モードレッドはアーサーの不倫の子であるとされている。
それでも、彼女の王国崩壊の一因となるほどの不倫を正当化するには、やや弱いようだ。
|
作成者:渡邉聡士 作成日:
更新日:2005-03-15 00:00:00
|
・『アーサー王の死』 T・マロリー作 W・キャクストン編 厨川文夫・厨川圭子抄訳 筑摩書房
・『アーサー王ロマンス』 井村君江著 筑摩書房
・『アーサー王物語』 トマス・ブルフィンチ著 大久保博編訳 角川書店
・『アーサー王伝説紀行』 加藤恭子著 中公新書
・『図説アーサー王伝説事典』 ローナン・コグラン著 山本史朗訳 原書房
・『アーサー王伝説の起源』 C・スコット・リトルトン リンダ・A・マルカー著 辺見葉子 吉田瑞穂訳 青土社
・『図説ケルト神話物語』 イアン・ツァイセック著 山本史朗 山本素子訳 ・『ケルトの神話』 井村君江著 筑摩書房
・『ケルト神話と中世騎士物語』 田中仁彦著 中公新書
・『新約聖書』 新共同訳 日本聖書教会
|
|