アタヤル族に伝わる巨人で、その丈は六十尋(約100メートル強)で、彼の寝た所は凹んでいて、畑の一区画ほどもあったという。又、彼は長い陽物を持ち、平常時には腰に巻きつけていた。
暴風で川が増水した時は、人々がハルスを呼んできて、ハルスの陽物を橋がわりにし、ハルスは両手を伸ばして橋の欄干にした。女が通る時は鉄のように硬くなって動かないが、男が通ると、ハルスは橋を震わせて激流に落とす事もあった。
又、ハルスは大変な好色で、女をよく犯した。夫が畑に行って妻が家に居ると、ハルスはその妻を犯した。犯された女性は、股が裂けて死んでしまった。
又、皆で狩りに行っても、ハルスは先回りして獲物を一口に呑み込んでしまった。
又、ハルスが山の麓で口を開けていると、鹿は洞穴だと思って入ってくる。ハルスはそのまま口を閉じて噛み砕き、こうして山中の獣を食べ尽くした。
人々は彼を殺したいと思ったが、弓で射てもハルスには蚊が刺したほどであった。
そこで人々は、山へ行って二つの大石を三日間焼いて赤くし、ハルスのところへ行って
「山に獣がたくさんいる。我々が山から追い落とすから、麓のところで待ち伏せしていろ。」
と言った。
ハルスは喜んで麓で待ちうけていた。
人々は一つ目の赤い石を転がしたが、これは逸れてしまった。次に二つ目の赤い石をころがすと、ハルスのもとへ転がってゆき、ハルスはそれを獣だと思って一口に呑み込んだ。するとジューという音がして、ハルスが一声叫ぶと、ハルスは死んでしまった。
ハルス殺害の方法は、オホナムチ(大穴牟遅神)のそれと類似している。
|