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さんた丸屋 ( サンタマルヤ ) 英名: Sancta Maria

 地 域: 日本
 テーマ: 一般
 種 別: 名前

 かくれキリシタンにおける聖母マリアの呼称。特に『天地始之事』(長崎県に伝わる聖書、1810年代のものと推測される写本が現存している)に、多く使用されている。「さんた(Sancta)」はポルトガル語で、女性の聖人を表す言葉。「びるぜんのさんた丸屋(virgem=処女)」、「雪のさんた丸屋」、「ころうどのさんた丸屋(coroa=花冠)」など称されている。



 『天地始之事』によると、丸屋は羅尊国の貧しい家の娘に生まれたが、7才から学問に長け、12才までに上達し、天より「びるぜんの行をなせ(一生嫁がず、処女でいるべし)」というお告げを受けた。羅尊国の帝王は、この丸屋の噂を聞きつけ、妃にしようとするが、当然、丸屋は断る。帝王は多額の財宝を見せ、妃になるならこれらをやろうと言うが、それでも丸屋は従わず、天に祈ると、6月にも関わらず雪が降り、積もり始めるという奇蹟が起きたのだった。帝王たちが呆然と見ているうちに、天から遣わされてきた「花車」に乗り、丸屋は天へ上っていく。天帝デウスもとへと召された丸屋は位を授かり、再び地上へ戻ったという。



 その後、地上に戻った丸屋は、さんがむりやありかんじよ(大天使聖ガブリエル)から受胎告知を受ける。天使の告げた通り、2月中旬に、蝶の姿をした聖霊によって、丸屋は御懐胎した。しかし、懐胎した丸屋の姿を見た両親は、このことが帝王の耳に届けば、家が滅亡してしまうとして、丸屋を勘当してしまう。家を追われた丸屋は、野や山を歩き続け、雪の降るべれん国の牛馬小屋で、ついに、じゆすきり人(イエス・キリスト)を産んだ。

 じゆすきり人は成長すると、『新約聖書』同様、教えを広め、やがて、べれん国の帝王よろう鉄(ベツヘレムのヘロデ王)に捕らえられ、処刑されることになる。丸屋はその死骸を見て嘆き悲しんだ。丸屋は天からお告げを受け、7月3日におりべて山から、ぱらいそ(parsaiso=天国)へ御上天された(『新約聖書』では、キリストがオリーブ山から昇天している)。天において、丸屋は人間と、じゆすきり人の取次役として、すへるとさん(Spiritu Santo=聖霊)となったという。ここでは、天帝デウス・じゆすきり人・さんた丸屋が三位一体となっている。

 なお、『新約聖書』におけるマリアの夫ヨセフは、『天地始之事』には登場していない。丸屋とじゆすきり人の母子関係がクローズアップされているのみだ。丸屋の夫としては、昇天後、天界において、丸屋に恋い焦がれて死んだ羅尊国の帝王を仮の夫としてたてたとされている。

 1614年1月31日に徳川家康は切支丹禁止令を発令し、1873年に撤廃されるまでの間、キリシタンたちは潜伏し、信仰を守り続けた。今日のカトリックと同様、聖母崇敬は潜伏キリシタンたちにとって重要だった事は、俗に「マリア観音」と呼ばれるものに象徴されている。「マリア観音」は、白衣観音・子安観音などの観音像を聖母に見立てて祀った像である。長崎奉行所の記録には、1856年に「先祖どもから信仰してきたハンタ・マルヤと申す白焼仏立像一体」が、潜伏キリシタンから押収されたとある。マリア観音以外にも、「無原罪の聖母」を描いたメダイ、聖母子を描いたお掛け絵などが、潜伏キリシタンたちの隠された信仰対象となっていた。

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 作成者:JD
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