「ナーガ」とは、サンスクリット語で「蛇」、正確には「コブラ」を意味する言葉である。それが神聖視され、蛇の下半身に人間の上半身を持った神として崇拝された。
蛇は古今東西、再生を象徴する動物であった。それは一定周期で脱皮をくりかえす。また、爬虫類の多くは尻尾を切られても再生してしまうところから再生能力にも長けていた。これらのことから蛇は不老不死・再生・復活などと結び付けられた。古代エジプトやギリシャでも蛇は再生・医療のシンボルとされた(カドゥケウスの杖参照)。他にも、中国の少数民族「苗族」は自分たちの祖先を大蛇として崇拝しており、蛇神信仰やその思想を、後の中国に伝えた。
日本との面白い関係は、ナーガの女性形を表す言葉「ナーギー」と、蛇を表す古い日本語の「ナギ」であろう。今では、「蛇(へび)」と書くが、長い間「長虫(ナガムシ)」と呼ばれていた。
また、インドでナーガといえば重要な種族である。蛇神信仰は、アーリア人進入以前からあったが、一部の蛇神が畏敬の念を込めて崇拝されたのは、それ以降からだ。ナーガ族には、神に敵対する悪魔も多いが、現在のインドでは、ナーガは神と肩を並べる存在である。
その王は「ナーガーラジャ」と呼ばれ、その頂点にいるのが「アナンタ」または「シェーシャ」である(両者は同一視されることが多い)。そして、地下にある「パーターラ」という王国に住んでいる。
主なナーガ族の神は、「タクシャカ」「ヴァースキ」「カーリヤ」など。「ヴリトラ」も、氾濫するガンジス河の恐怖と、コブラが合わさって生まれたと言われている。
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