ヴィシュヌの第5のアヴァターラ(化身)である。獅子の頭と、人間の体を持った霊獣。
ヴァラーハに化身したヴィシュヌによって殺されたヒラニヤークシャには、ヒラニヤカシプという兄弟がいた。ヒラニヤカシプは、ヴィシュヌへの復讐を誓い、苦行を重ねていた。
その結果、彼はブラフマーから「神にもアスラにも人間にも獣にも殺されない」という約束を得たのである。また、昼にも夜にも、屋外でも建物の中でも殺されないと付け加えた。不死身となったヒラニヤカシプは、あっという間に三界(天・地・地下)を支配し、神々を脅かした。
彼には4人の息子がいた。そのうちの一人プラフラーダは、仇敵であるヴィシュヌの熱心な信者だったのである。父王は怒り狂い、息子の考えが変わるように拷問にかけた。しかし、息子の信心は変わるどころかますます強くなって行く。ヒラニヤカシプが「ヴィシュヌなどこの世に存在しない」と言うと、「ヴィシュヌは、あらゆる物に存在している」と言い張った。
しびれを切らせたヒラニヤカシプが「ならば、この柱にも存在しているとでも言うのか!」と近くにあった柱を蹴った瞬間である。音と共に柱が砕け散り、中からヌリシンハが飛び出すと、一瞬のうちにヒラニヤカシプを喰い殺してしまった。時は昼でも夜でもない夕刻の逢魔が時、屋外でも屋内でもない門の下、人間でも獣でもない半人獣獅子のヌリシンハに殺されてしまったという訳である。
このヌリシンハへの信仰は中世に流行した時期があって、独立の一派が作られた。スリランカやタイの装飾で見ることが出来る、ノラシンガという神獣は、元はヌリシンハだった言われている。
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