ブラフマーの神妃。学問・知恵・弁説・音楽の女神。語源的に、サラスヴァティーとは「水をもつもの」という意味である。
彼女は左手に本、右手に数珠を持った姿や、多くの腕を持ち、縄やヴィーナ(琵琶)を持った姿で表される。また、類い希な美貌であり、額に三日月の印を持つ。彼女の乗りものは、孔雀である。
『リグヴェーダ』において、彼女は河の名前であった。その中に記されている25の河の中で、もっとも知られており「最高の母、河の中の最上者、女神中の最上の女神」といわれている。このように、初期においては大地母神的な性質を持っていた。
後世には芸術の神として、64もの音楽・技芸を司り、サンスクリット語と、その表記文字であるデーヴァナーガリーを考案した。サンスクリット語は、その音に宇宙の力が宿っているとされる。音楽の神であるサラスヴァティーだからこそ、その聖なる音を文字として表記できたのだろう。
ヴェーダの韻律の1つで、8綴1行を3つ重ねた詩形である「ガーヤトリー」を守護する女神(ガーヤトリー)と同一視される事もある。『マツヤ・プラーナ』によれば、ブラフマーの3人の妻、サラスヴァティー、サーヴィトリー、ガーヤトリーは同一人物である。
彼女の美しさを表す、次のようなエピソードがある。サラスヴァティーは初め、ブラフマーの娘として作られた。しかし、彼女があまりに美しかった為、彼はサラスヴァティーを自分の妻にしたくなった。
それに気付いた彼女が、ブラフマーの視線から逃げようとすると、彼は四方に顔を現し、彼女が空に飛び上がると、第5の顔が現れたのである。もはや逃れられないと観念したサラスヴァティーは、ブラフマーと結婚した。そして、仲睦まじく暮らした二人は、人類の祖である、マヌを生んだ。
仏教では、弁財天、妙音天などと訳されている。
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