『肥前国風土記』の「佐嘉郡」の項に登場する女神。川上に鎮座する石神とされており、海の神(鰐魚)が毎年毎年、川の流れに逆らって、多くの魚と共に昇り、この女神のもとに来るという。この魚たちを恐れ敬うものに災いは無いが、捕って食べようとするものは死ぬこともある。この魚たちは、二、三日川にいた後に、海へ帰るという。『肥前国風土記』では「鰐魚」となっているが、後にこれは「鯰」の事だとされ、佐賀地方には「鯰」を食べない習慣ができた。
佐賀県佐賀郡大和町川上の嘉瀬川沿いに「與止日女神社」があり、與止日女命が祀られているが、この女神は世田姫と同一神だと考えてられている。『神名帳頭駐』には欽明天皇の時代、564年頃の冬に與止姫(豊姫、淀姫とも)が鎮座されたと記されており、『延喜式』にもこの神社名が記されている。『八幡愚童訓』には、豊姫こと川上大明神は神宮皇后の妹だとされており、『宇佐宮縁起』には干珠満珠を使って姉の軍威を助けたとされている。
豊姫という別名、鰐魚、干珠満珠という点からは、豊玉姫命を連想させる。実際、與止日女神社境内にある解説文の祭神には、豊玉姫命が含まれていた。また、地元では「乙姫神社」とも呼ばれており、竜宮伝説にも結びつけられているようだ。
平成七年四月、嘉瀬川上流の佐賀県大和町下田に《肥前巨石パーク》という公園施設が設置された。この公園から下田山の中へ入って行くと、全部で十七個の巨石が山中に点在しているのを見ることが出来る。このうち「造化大明神」と呼ばれる巨石に、世田姫が祀られている。チラシには、天地万物を造った神だと説明書きがされており、明治時代中頃までは、毎年十一月二十日、ここで祭典が執行されてきたという。また嘉瀬川に架かる官人橋付近では、毎年四月から五月上旬にかけて、約五百匹の鯉のぼりが、まるで世田姫を目指して川を昇るかのように、川の上に吊されている。
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