インドの神話。殺戮の女神。シヴァの神妃(デーヴィー)で、カーリーと共に、その暗黒面を表している。温厚なパールヴァティーの、別の顔の表れであるともいう。その名は「近づきがたいもの」の意。
非常に美しい女神だが、その性格は冷徹で残酷である。10ある腕には様々な武器が握られており、虎に乗ってアスラを殺している姿で描かれることが多い。
元々「ドゥルガー」の名は、あるアスラの名前であった。彼女がその名を得たエピソードは、なかなか凄まじい。魔神ドゥルガーは、三界を支配する王だった。彼は人々を苦しめ、全てを思い通りにしようとした。人々は神々に祈り、それを聞いたシヴァ神はこの魔神退治を妻に任せたのだ。迎え撃つ魔神軍は、1千万の騎馬軍団、1200万頭の象、1億台の戦車だった。彼女は1000の腕を作り出すと、一人でそれに立ち向かい、全てを破壊し尽くした。三叉戟をドゥルガーの胸に突き刺した彼女は、自らドゥルガーを名乗ったのである。
他にもその出生に関して、良く知られた物語がある。ある時、マヒシャというアスラが、神々に戦争を挑み天界を占領した。インドラなどの古い神々は天界を追われ、シヴァとヴィシュヌに助けを求めた。激怒した2神は口から凄まじい光を放出し、同様にブラフマーも光を放つ。光は収束し、一筋の閃光となる。その燃えるような光の中から生まれたのが、ドゥルガーである。
それに喜んだ神々は、シヴァの三叉戟、クリシュナのチャクラ、ヴァルナの法螺貝、アグニの槍など様々な武器を彼女に与え、ヒマヴァットは彼女の乗り物として、虎を与えた。
数々の武器と賞賛を得た彼女は、マヒシャに戦いを挑む。全身から発する光が全世界を覆い、凄まじい咆哮が地を揺るがした。マヒシャは様々な動物に姿を変えながら、彼女を迎え撃つ。しかし、水牛から人間に変身しようとした瞬間を、彼女の強烈な一撃が襲い、ついに殺されたのである。このエピソードから、彼女は「マヒシャースラマルディーニ(マヒシャを殺すもの)」と呼ばれるようになった。
ドゥルガーは元々、「ヴィンデイヤヴァーシニー(ヴィンディヤ山に住む女神)」といわれるように、この山に住んでいた先住民の地母神であったと思われる。それが、『マハーバーラタ』などの叙事詩の時代になると、困難から人々を救う女神として崇拝されている。
また、アーシュヴィン月(9〜10月)に行われるナヴァラート祭りはインド最大の祭りといわれている。別名、ドゥルガー・プージャーと呼ばれ、ドゥルガーへの生け贄が数多く捧げられる。
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