北欧神話の、創世から存在する世界蛇である。その名は、古ノルド語で「真ん中の住むところ」を意味する。スノリの『エッダ』によれば、ユミルの睫毛から作られた。
後に「力強い大地の帯」とも形容され、大地をぐるりと囲み支えている。ヨルムンガンドは世界の守護神であり、大地母神的な存在でもあったのだろう。しかし、時にその存在は大地を揺るがすことになる。それに対峙するのが、トールである。
中でも有名なのが、ヘルドゥム・ティの石碑にも描かれているトールがヨルムンガンドを釣り上げようとしたエピソードだろう。
ある時、若者に変身したトールは、巨人族のヒュミルと釣りに出かけることになった。牛の頭を餌に糸を垂らすと、すぐに何かが食いついてきた。その力は凄まじく、トールの足は船底を突き破って海底にまで届いてしまう程だった。トールが、渾身の力を込めてぐいと竿をあげた瞬間、波間に現れたのが、ヨルムンガンドだったのである。
隣に立っていたヒュミルは、その恐ろしい形相に、思わず糸を切ってしまう。その為、ヨルムンガンドは元の海底に戻って行ってしまった。トールが激怒したのは言うまでもない。逃がした魚は大きいというが、まさに世界を覆うほどの巨大な獲物だったのである。
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