ルシファー、ルキフェル。ルシフェルという名は、初期のキリスト教において、「サタン」の同義語と見なされることがある。これは、イザヤ書にある「輝きを広げる」という意味のヘブル語を誤読した為である。また、神の敵対者であるサタンが、堕天する以前にルシフェルと呼ばれていたということは、ゾロアスター教などの二元論から解き放たれる事になる。
堕天する以前のルシフェルは、神の右側に座ることの許された大天使(熾天使とする説もある)で、神に最も愛され、美と勇気、気品に満ちた天使界の最高権力者であった。
しかし、ルシフェルが純粋なる神の創造物でない事を示唆するのはこれからである。彼の罪は"傲慢"。己が玉座に座ることを考えたため神の怒りにふれ、天から地へと稲妻のように落とされたのである。
ジョン・ミルトンの「失楽園」によれば、彼に同調した天の3分の1の天使達も、同様に地獄へ落ちた。
その後、彼は地獄に万魔殿(Pandaemonium:すべての悪魔の意)を建設する。ルシフェルは、自らの意志で神に立ち向かったのである。神の予定調和はそれを「サタン」とみなしたが、そこにゾロアスター教などの二元論的な思想を感じざるをえない。
事実、その存在はペルシャ人やエジプト人、中でもカナン人の伝承から強く影響を受けている。
それによれば、明けの明星シャヘルと宵の明星シャレムという双子神がおり、シャヘルは己より高位の太陽神に嫉妬しクーデターを企てたが、失敗して天から落とされた。ルシフェルとミカエルが双子の兄弟とされるのは、この兄弟神の話から来ている。このような、善と悪が双子であるというズルワニズムは、非常に二元論的だ。「陰」と「陽」の結びつきにより、時間(ズルワーン)そして宇宙を表す。
近代オカルティズムでは、闇の存在アーリマンに対立する存在「オルムズド」を示す名は「ルシフェル」。その存在において、彼は神にも悪魔にも対立する。
ルシフェルは光の存在でありながら、自らの意志で地へと降り立ち、その体を包む光によって、地上の闇を照らし出したのである。
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