マルトとは、常に複数で語られる、暴風の神格化である。単独としてのマルトは、ヴァーユと同一視される。一般的に、マルトはルドラの子供達である。
しかし、一説によれば、彼らを生み出したのはカシュヤパの妻デティである。インドラを憎んだ彼女は、祭儀を行い、インドラを殺すことが出来る不死身の息子を得ようとした。しかし、その計画はインドラの知るところとなり、激怒した彼は、デティの胎内にいるマルトを7つに切り裂いてしまう。
すると、その7つの肉片がすすり泣きをはじめ、さすがのインドラもこれには後悔したらしく、「マ・ロディブ(泣かないで)」と慰めたのだが、一向に泣きやむ気配はない。またも激怒した彼は、7つの肉片をそれぞれ7つに切り裂いてしまった。こうして出来た49の肉塊は、インドラの言葉から、マルトと呼ばれたのである。
ここから、何故ルドラに関係したかというと、ルドラと同一視されたシヴァの妻であるパールヴァティーが、その肉塊を拾い上げ、シヴァがそれを少年の姿に作り直した。つまり、こういった複雑な経緯をへて、ようやくルドラの息子になったわけである。
皮肉なもので、その後彼らはインドラの随伴者となった。炎の様な真紅の体を黄金の鎧で包み、天空を嵐のように駆けた。その進軍は凄まじく、雷や炎をまき散らしながら、鋭い咆哮を上げ、辺りを破壊し尽くしたという。
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