ローマの平和の女神。オリーブの葉、豊饒の角、月桂樹、槍等で身を飾った姿で描かれる。
元々はギリシャの平和の女神エイレーネーをラテン語名に置き換えたものであったが、ギリシアとは異なりパクス・デウキス(神々の平和)の象徴たる抽象的神性として信仰された。その後のローマの拡大に伴い、象徴するものはパクス・ロマーナ(ローマの平和)に変化したが、その抽象性格は変わらず、あくまで具象化された「平和」として扱われるに留まった。
パクスは紀元前44年以降から度々ローマの貨幣に描かれ、紀元45年にはウェスパシアヌス帝により壮麗な神殿が建設されているが、シンボル的な扱いであることには変わりなく、アウグストゥス帝による有名な『平和(パクス)の祭壇』(紀元前13年建立決議、紀元前9年完成)はあくまで(ローマの)「平和」そのものを祝福するためのものであった。
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