俗に流布するところでは、サンスクリット語「スメール」の意味を映した漢訳語が「妙高」だと言われる。
一方、音を写した漢訳語が「須弥山」である。
ヒンドゥー教では、「ブラフマー神の卵の殻」の中に宇宙を構想する。ここに同心円状に連なる七つの大陸があり、その中心の円形の大陸がジャンブードヴィーパ、即ち「贍部洲(せんぶしゅう)」である。このジャンブードヴィーパの中心に聳え立つ山がメール山である。
この黄金の山メールは、標高が8万4千ヨージャナ、頂上の直径が3万2千ヨージャナ、基部の直径が1万6千ヨージャナとなっており、コップを立てたような山容である。尚、底面は円形ではなく多角形であるとする説もある。基底部には、東にマンダラ山、南にガンダマーダナ山、西にヴィプラ山、北にスパールシヴァ山、の各山が支柱のように寄り添っている。
メール山の頂上にはブラフマー神の巨都があり、ローカパーラの各都市がこれを囲繞している。即ち、東にインドラ、南東にヴィヴァスヴァト、南にヤマ、南西にソーマ、西にヴァルナ、北西にアグニ、北にクベーラ、北東にヴァーユ、の各都市が位置している。つまり、9つもの神々のメガロポリスがこの山頂に収まっているのである。
仏教に取り込まれても、やはり須弥山は世界の中心であり、標高8万ヨージャナの威容を誇る最高峰である。火の玉である太陽、水の玉である月、そして星々、これらがこの山の周りを巡る風の流れに乗って周回し続けている。
山容は8万×8万×8万ヨージャナの正立方体であり、カンボジアのアンコールワット寺院や仏壇の台座の須弥壇はこれを写した模型である。山体の側面はそれぞれ、北が黄金、東が白銀、南が青い瑠璃、西が赤い水晶でできている。
山の南側に太陽がある時、我々の世界とされる贍部洲は正午であり、西側の牛貨洲は日の出を仰ぎ、北側の倶廬洲は真夜中で、東側の勝身洲は日没を見送っている。
山頂には帝釈天とそれに随う四天王及びその配下が依拠している。
また、37柱のナッもこの須弥山の山頂を中心に展開しているものと思しい。
ところで、須弥山がいくら高いと言っても所詮は大地の一部である。この為、この山に存在する四天王天及び三十三天の地と住民を指して、特に「地居(じご:「大地に住まう」の意)天」と言う。天人の圧倒的多数は空中に住んでいるからである。
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