インドの神話。ターラー(あるいはターラカー)とは「星」を意味し、ブリハスパティの妻である。
プラーナ文献によると、ラージャスーヤの祭祀を行い力を得たソーマは、驕り高ぶり、ある時ターラーを誘拐してしまう。夫であるブリハスパティは、何度もソーマに妻を返すように言ったが、ソーマは聞く耳を持たない。ブラフマーも彼に妻を返すように忠告したが、無駄であった。
そして、両者の間に決定的な亀裂が入り、大戦争が勃発する。神々はブリハスパティに味方し、ダイティヤ、ダーナヴァなど魔神軍はソーマに味方した。この戦争は、その目的から「ターラカーの戦い」と呼ばれる。戦いは大地を壊してしまうほど激しく、たまりかねたブラフマーが仲裁に入り、ターラーは夫の元に返されることになった。
しかし、扉の前に立つターラーを夫のブリハスパティは家に入れようとしなかった。彼女は妊娠していたのである。彼は彼女に外で子供を産むように命じ、生まれたら捨ててしまおうと考えていた。だが、生まれてきたのは、神々さえも目が眩む程の美しい少年であった。
それを見たブリハスパティの態度は一変する。ソーマと共に、自分の子供であると争い始めるのだ。二人は、ターラーに本当のことを言うように迫るが、恥ずかしがって答えようとしない。業を煮やした少年は、「本当のことを僕に聞かせて下さい」と母親に詰め寄った。
それを聞いたターラーは、赤らめる顔でソーマを見つめ、ついに「この子の父親はソーマです」と告白したのである。それを聞いて喜んだソーマは、少年を抱き上げ「お前は、賢い子だ!」と叫んだ。そこから、少年はブダ(知慧・賢者)と呼ばれるようになった。そして後に、ブダは月種族(チャンドラヴァンシャ)の始祖となる。
密教において、ターラーは仏の配偶神である楽身とされる。退蔵界曼陀羅では、多羅菩薩として蓮華部の一員である。多羅観音。 アヴァローキテーシュヴァラの項目も参照。
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