その名前は「神の炎」を意味する。タルタロスを支配する地獄の長官であり、怒りにみなぎる恐ろしい天使である。「ペテロの黙示録」によるとウリエルは懺悔の天使で、悪魔顔負けの無慈悲、無情な存在として描写されている。「シュビラの託宣」では彼は不死の天使で、壊れることのないハデスの真鍮の門を折り、投げつけ、裁きへと連れていくとされている。まさに恐怖の地獄長官である。
ウリエルはしばしば炎の剣をもちてエデンの園の門に立つ智天使と同一視されるが、その本職は地獄の長官である。そもそもエデンの園の門
に立つ天使は智天使であると聖典に明記されているのだから、大天使(一説には熾天使)たる彼には関係ない話であろう。しかし、炎の剣を持っていかめしく門を守っているであろう智天使と同一視される所が、なんとも彼らしいとは言える。
エノク書において、彼は天体の運行、季節、年月、気象といったものを秩序立てているとされている。そして、彼はエノクに「天の書」という一種のアカシック・レコードをあたえたらしい。このことから、彼は人間に魔力あるカバラを与えた天使であると主張されている。しかし、基本的に彼は廉潔で、規則を頑なに守る天使なのだ。事実、そのために彼は8世紀の教会会議で激しく非難され、一時「異端」のレッテルを貼られている。その彼が神のルールを破ってまで人間にカバラを与えたと
は考えられない。おそらくこれは後にメタトロンとなるエノクにだけ与えた「天の書」の話が、いつのまにか拡大解釈されて、人間一般にカバラを与えたという話になってしまったものと思われる。
記録に残っている中でウリエルは最も最初に人間となった天使である。「ヨセフの祈り」の中で、「我は人間のなかに住むために地上にくだり、ヤコブと呼ばれる」とウリエルが言っているのだ。また、後世の聖典で彼は「神の顔」ファヌエルと同一視されており、そのファヌエルこそがヤコブ・イスラエルなのだ。その後、多くの天使が人間となり、また多くのイスラエルの父祖が天使となったが、ウリエルはその先駆けであったと言える。その辺りに神が彼に期待している役割、能力を予想することが出来よう。
ところで、ミルトンはその著書「失楽園」でサタンが天使に化けてエデン侵入を目論んだとき、ウリエルが鋭い観察力でそれを見破ったとしているが、これは創作であろう。そもそもサタンはエデンの園へのルートを知るために太陽を訪れ、「太陽の統率者」であるウリエルに道を聞いたというのだが、本来ウリエルはそこにいない。だが、全くのデタラメというわけでもない。エノク書にある様に、彼は天体の長官でもあるのだから。しかしミルトンの「失楽園」は従来の神学からかなり外れた記述が多く、どう考えてもあきらかに創作小説なのであるから、それを説としてとりあげるのはやや無理があろう。
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