ヴィシュヌの第4のアヴァターラ(化身)である。その名は、「矮人」と言う意味。
ある時、魔族のバリはインドラの都アマラーヴァティーを占領して、天界・地上・地下の三界を支配した。神々は恐れをなして逃げ出してしまい、バリは事実上の宇宙の王となったのである。
この事態を重く見た神々の母アディティが、ヴィシュヌに祈りを捧げると、彼はその願いを聞き入れ、アディティとカシュヤパの間に生まれた息子ヴァーマナとして転生した。ヴァーマナは、非常に美しく聡明な少年であった。
バリは、ヴァーマナの事を大変気に入り、望むものは何でもやろうと約束した。「今から自分が歩く、三歩分の土地が欲しい」とヴァーマナが言うと、バリは喜んで承諾した。その瞬間、ヴァーマナの体は突然巨大化し、第1歩で地上の全てを、第2歩で天界を踏みしめ、最後の第3歩で地下を含める三界を歩ききったのである。
このエピソードは、『リグ・ヴェーダ』において既にヴィシュヌの賛歌として歌われている。太陽神としてのヴィシュヌは、ブラフマーナ、叙事詩を経てプラーナに至り、ヴァーマナとして説かれるようになったのであろう。
|