ヴィシュヌ第3のアヴァターラ(化身)である。水中から大地を引き上げた「猪」として表される。
ある時ダイティヤ族のヒラニヤークシャが、神々との争いから、大地を水の中に沈めてしまった。神々は、ヴィシュヌ神に助けを求めた。
ちょうどその頃、人類の祖であるマヌは父であるブラフマーと共に暮らしていた。自分によく仕えるマヌを気に入ったブラフマーは、女神に祈りを捧げるようにマヌに教えた。言われたとおりに女神に親愛を捧げたマヌは、女神達からプラジャーパティ(創造主)になる力を与えられたのである。
マヌは一人静かに創造を出来る場所を探した。しかし、全ての大地は水の中に沈んでいて、何処にもそのような場所がなかったのである。ブラフマーはマヌを連れてヴィシュヌの元に行き、祈りを捧げた。
すると、ブラフマーの鼻の穴から一匹の猪が飛び出したのである。猪は瞬く間に巨大化し、やがて山のような大きさとなった。神々しくそびえ立つヴァラーハは海の中に飛び込むと、大地をその牙の上に載せて支えた。ヒラニヤークシャはそれを邪魔しようとヴァラーハに襲いかかるが、ヴィシュヌはアンダカという棍棒でなんなく打ち殺してしまった。そして、大地を水から引き上げて地上に固定したのである。
元々この神話はブラフマーナに起源を持つ。これが、後の叙事詩やプラーナの時代になると、ヴィシュヌの化身として語られるようになったのである。これはヴァラーハに限らず、他の化身にも言えることだろう。
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