ローマの火の神。その名ヴルカヌス (Vulcanus)はしばしば火の同義語として用いられた様だが、原義は不明である。ギリシャ神ヘパイストスとは早い段階からから同一視されていたらしい。クレタにおいてはヴェルカノス(Velchanos)と呼ばれていた。
鍛冶や工業の守護神であり、ローマ人の祖アーエネイスの鎧はヴルカヌスの手によるものだとされていた。ただし火山の神でもあり、しばしば火山噴火に見舞われるイタリアにおいては時に恐怖の対象となる神であった。その住処(あるいは仕事場)は古くはシチリアのエトナ山(これはヘパイストスから受け継いだ可能性がある)、後にはヴェスヴィオス山とされた。
本来はエトルリア起源の神と推察されている。初期のローマ人は青銅器文明であったが当時既にエトルリア人は鉄器を持っており、鉄器技術と共に信仰が導入された可能性が高い。しかしヴルカヌスの起源については元々ユピテルと同一の雷神であった、あるいは神格化された火の象徴であった(この場合本来ヴェスタはヴルカヌスの妻であったとされる)等とする説もある。ティベル川の神であったとする説もあるが根拠に乏しい。ヴルカヌスのイメージは北欧に伝わり鍛冶師ヴォルンド(ウェーランド)になったとされる。
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